いくつかの壊れた日々とゆび

Upcoming
2025. 12. 13 Sat2026. 1. 24 Sat
シュウゴアーツ 六本木
Upcoming

リー・キット, title to be confirmed, 2025, spray paint on stainless steel, 130x105cm

リー・キット, title to be confirmed, 2025, spray paint on stainless steel, 130x105cm

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一日が過ぎた——それは美しいことだ。時間で表すことのできない日は、めったにない。

 

2
彼は長い間、古いポスターの写真を見つめていた。いくつかの物語や出来事を忘れたかったのだ。彼は考えすぎていた。

 

3
その空白は、手にそっともたれかかる頭のようだ。その顔はそむけられ、心は漂い、かすかな笑みを浮かべている。それは風が通り抜けるポスター、はっきりと、開かれている。

 

4
彼は自分の勇気が幻想にすぎなかったことに気づくほど、怒っていた。

 

5
人々があなたを憎むのには理由がある。知らないふりをしてはいけない。

 

6
彼は自分がこれまで口にしてきた言葉を、一つひとつ思い返した。なぜいつも罪悪感を抱いていたのかを知りたかったのだ。だが、手がかりはなかった。ただ、「悲しみはうるさくない」ということだけがわかった。トラウマは、必ずしも赦される必要はない。

 

7
彼は断片のように生きているのかもしれない。けれど、自分の傷をあなたの手に委ねたいとは思わない。

 

8
なんて途方に暮れた顔。

2025年11月リー・キット

展覧会について

シュウゴアーツでは、香港生まれ、台湾を拠点に活動するアーティスト Lee Kit(リー・キット) の個展を開催いたします。

 

リー・キットは、布地に描いた絵画をテーブルクロスやカーテンとして使用する初期作品から、日用品、ポップソングや映画、街中にある音や映像、テキストを取り入れたインスタレーションまで、絵画を空間的に拡張してきました。その展示空間に漂う複雑な感情は、故郷・香港の変化する風景に深く根ざしています。リーは本年、カッセルの Fridericianum(フリデリチアヌム美術館) での個展や、大阪の国立国際美術館「非常の常」への出品など、活発に発表を重ねています。

ShugoArts

「His gaze has turned in to disdain for those who are well-intentioned yet incapable. (A quiet day)」展示風景, 2025, Fridericianum, ドイツ, カッセル

ShugoArts

「非常の常」展示風景, 2025, 国立国際美術館, 大阪

近年は、金属板に工業用スプレーで描く新たな手法を展開。スプレーは混色せず、乾くのが非常に早い特性を指先で巧みに操作しながら幾層にも重ねられ、独自の表現を生み出しています。絵具が浸透する布やダンボールとは異なり、硬い金属の表面に色を重ねることで、イメージは素材の構造から独立し、純粋な表層として存在しています。

ShugoArts

リー・キット, title to be confirmed, 2025, spray paint on stainless steel, 120x95cm

本展タイトル「いくつかの壊れた日々とゆび」 は、因果で説明することのできない怒りや痛みを内省的に抱える人物像を想起させます。リーの展覧会は鑑賞者を展示空間の中へ深く誘い込み、断片的な感情を喚起すると同時に、自由な解釈の余地を残すことで、普遍的なテーマへとつなげる力を備えています。

 

本展では、日本滞在制作による新作ペインティングに加え、2020年より継続的に制作している写真ポートフォリオの第三弾となる新エディションも発表予定です。ぜひ会場にてご体感ください。

2025年11月 シュウゴアーツ

展覧会情報

リーキット個展「いくつかの壊れた日々とゆび」
会期

2025年12月13日(土)- 2026年1月24日(土)

オープニングレセプション

12月13日(土) 17:00 – 19:00

会場

シュウゴアーツ

開廊時間

火〜土曜 11:00−18:00 (日月祝休廊)

冬季休廊

12月28日(日)- 1月5日(月)

LEE Kit | ShugoArts
リー・キット
LEE Kit

1978年香港生まれ。台北を拠点に欧米アジア各地で展覧会に参加し国際的に活躍。プロジェクターによる光、映像、音、言葉やファウンド・オブジェなどのメディアを素材として用いながら制作される作品からは、常に絵画表現を先鋭的に拡張していこうとする意思が読み取れる。世界情勢に揺れ動いてきた都市、香港を出自にするリーは、同時代の社会や政治状況に問題意識を持って向き合っている。様々な土地の空気や感情を反映させたサイトスペシフィックな展示空間は、繊細な表現を通して観客に社会や他者との関係性を想起させる。

 

主な個展に「His gaze has turned in to disdain for those who are well-intentioned yet incapable. (A quiet day)」Fridericianum(カッセル、2025)、「息をのむような虚ろな視線」シュウゴアーツ(東京、2023)、「Iʼll take (A).,」Hong-gah Museum(台北、2023)、「Lovers on the Beach」West Den Haag(デン・ハーグ、2021-2022)、「(Screenshot)」シュウゴアーツ(東京、2020)、「Resonance of a sad smile」 Art Sonje Center(ソウル、2019)、「僕らはもっと繊細だった。」原美術館(東京、2018)、「I didn’t know that I was dead」OCAT Shenzhen(深圳、2018)、「Not untitled」シュウゴアーツ(東京、2017)、「A small sound in your head」S.M.A.K(ゲント、2016)、「Hold your breath, dance slowly」ウォーカーアートセンター(ミネアポリス、2016)、「The voice behind me」資生堂ギャラリー(東京、2015)、ヴェネチアビエンナーレ香港代表(ヴェニス、2013)など。

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リー・キット
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いくつかの壊れた日々とゆび
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