森村泰昌 楽しい五重人格

2024. 4. 19 Fri6. 1 Sat
シュウゴアーツ 六本木

森村泰昌, 野草の肖像(習作4), 2023年, collage on paper, pastel, image: 25x18cm, unique

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森村泰昌, 野草の肖像(習作4), 2023年, collage on paper, pastel, image: 25x18cm, unique

エンターテインメントをめざしているわけではない、
でも楽しい見せ物。

 

起承転結のある物語にはなびかない、
でもなにかが語られている。

 

物静かな不協和音が、内と外に向けて炸裂する。
だから、たったひとりの5人展。

森村泰昌

展覧会について

近年の森村泰昌は、原美術館「エゴオブスクラ東京2020-さまよえる日本の私」(2020)、アーティゾン美術館「M式「海の幸」―森村泰昌ワタシガタリの神話」(2021)、森村泰昌x桐竹勘十郎人間浄瑠璃「新・鏡影奇譚」(2022)、京都市京セラ美術館「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」(2022)などの展覧会やパフォーマンスを手掛けながら、北加賀屋のM@Mでは定期的に企画展を開催し、大阪大学中之島アートセンターにパブリックアートを設置するなど、多岐に渡り充実した活動を続けている。加えて、今年の4月に出版される新著『生き延びるために芸術は必要か』(光文社新書)といった文筆活動もある。

ShugoArts

森村泰昌, ほんきであそぶとせかいはかわる(ミロA), 2020年, chromogenic print, image: 137x100cm, ed. 7

「わたし」をテーマに、およそ40年間にわたり制作し続ける森村であるが結局のところ「森村泰昌」とはなんだろうか。
作品の中では美術史の人物になり、映画女優になり、歴史的人物になり、そして現実の世界では写真家であり、映像作家であり、文筆家であり、舞台の演者でもある。あたかも多種多様な人格が「森村泰昌」という一つの器の中に同居しているかのようだ。森村はそのような「統一感が欠如していること、整理されず散乱していること、異なるキャラクターや価値観が混在していること、ヒエラルキーを生み出さないこと」をむしろ肯定し、「お定まりのアイデンティティに収斂されること」を回避したいと述べる。

ShugoArts

森村泰昌, カフカのいる風景2, 2015/2024, gelatin silver print, image: 22.3×29.7cm, ed.10

今展に出品される、森村の最新作、未発表作、近作は、相互に関係性を持たない五つのセクション(=五重人格)を構成し、各種各様に自在な展開をみせてくれる。登場するのは、森村扮する「甲斐庄楠音」、「ナポレオン」、「ミロの絵画」、「カフカ」、そして「魯迅」。計14点の出品作が奏でる不協和音とともに、「森村泰昌」の多重人格性が、静かにそして楽しく炸裂する。

 

「わたし」を何かと同一化したとき、私たちの思考はそこで固定されてしまう。自己とは主観的な経験が繋ぎ合わさったものであり、絶え間なく変化し続けるものと捉えれば、あえて散乱された「わたし」の状態こそが創造の源泉となりえるのではないだろうか。森村泰昌「楽しい五重人格」をどうぞご期待下さい。

2024年2月 シュウゴアーツ

ShugoArts

森村泰昌, 甲斐庄幻想, 2023/2024, archival inkjet print on japanese paper, image: 120x75cm, ed. 7

展覧会情報

森村泰昌「楽しい五重人格」
会期

2024年4月19日(金)‒ 6月1日(土)

会場

シュウゴアーツ

開廊時間

火 — 土曜 11:00−18:00(日、月、祝休廊)

オープニングレセプション
日時

2024年4月19日(金) 17:00 − 19:00

会場

シュウゴアーツ

作家が在廊いたします。
森村泰昌

関連展覧会、活動など

開館5周年記念「TAKE 5」展
会期

2023年10月27日(金)– 2024年3月31日(日)

会場

モリムラ@ミュージアム

第8回 横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」
会期

2024年3月15日(金)– 6月9日(日)

会場

横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、 クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路

レ・フランシスケーヌ、森美術館共同企画
「浮世:ジャポニスムから日本の現代アートまで」展
会期

2024年6月22日(土)– 9月22日(日)

会場

レ・フランシスケーヌ(フランス、ノルマンディー、ドーヴィル)

出版情報

『生き延びるために芸術は必要か』

光文社新書より4月17日刊行予定
美術家モリムラが、「芸術」を手がかりに、「生き延びるとは何か」というテーマに取り組んだ、M式・人生論ノート。

MORIMURA Yasumasa | ShugoArts
森村泰昌
MORIMURA Yasumasa

1951年、大阪府大阪市生まれ。大阪市在住。1985年に初めてのセルフポートレイトの作品《肖像/ゴッホ》を発表する。それ以降、「わたし」という一貫したテーマを持ち、様々な題材で「なにものかに扮するセルフポートレイトにまつわる作品発表し続けている。制作はモチーフとなる人物/作品について、念密なリサーチとジオラマ、スタジオセットの作成、コスチュームやメイクなどの創作過程を通じ、独自の視点から対象に迫る2018 年にはアーカイブや自主企画展示を見ることができるM@M(モリムラ@ミューシジアム)を設立

 

主な展覧会にYasumasa Morimura and Cindy Sherman: Masquerade」M+(香港、2024)、「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」京都市京セラ美術館 東⼭キューブ(京都、2022)、「M式「海の幸」—森村泰昌 ワタシガタリの神話」アーティゾン美術館(東京、2021)、「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020––さまよえるニッポンの私」原美術館(東京、2020)、「Yasumasa Morimura. The history of the self-portrait」プーシキン美術館(モスクワ、2017)、「森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うとき」国立国際美術館(大阪、2016)、「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」資生堂ギャラリー(東京、2013)、「なにものかへのレクイエム—戦場の頂上の芸術」東京都写真美術館(東京)/豊田市美術館(愛知)/広島市現代美術館(広島)/兵庫県立美術館(兵庫)2010-2011 巡回 など。主な著作に『自画像のくえ』(光文社新書)、『美しいってなんだろう?美術のすすめ』(理論社)、『美術の解剖学講義』(ちくま学芸文庫)、『芸術家Mのできるまで』(筑摩書房) など。主なコレクションに 原美術館(東京)、金沢21世紀美術館(石川)、国立国際美術館(大阪)、京都国立近代美術館(京都)、東京都写真美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)、Art Gallery of New South Wales (Sydney, Australia) 、Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía (Madrid, Spain), Museum of Modern Art (New York, USA)、San Francisco Museum of Modern Art (San Francisco, USA)、Whitney Museum of American Art (New York, USA) など。