わたしはあなたに会いたかった

2023. 6. 13 Tue7. 22 Sat
シュウゴアーツ 六本木

近藤亜樹, I Love You, 2023, acrylic on canvas, 227.3×363.6cm

114

近藤亜樹, I Love You, 2023, acrylic on canvas, 227.3×363.6cm

「わたしはあなたに会いたかった」

 

ほんとうに大切な自分の気持ちに
長い間気づくことが出来なかったけれど
ずっと心の中にありました

 

本能がジタバタと音を立てて
我慢できずに走り出します

 

そのきもちはとてもシンプルで
とても強くて大きくて
私は描くことで気づいたのです

 

冬眠から醒めた獣達も
おひさまを追いかける植物も
会いたい人に会えなかった私達も
あたたかさをずっと求めていました

 

季節が変わって
天の上にいるあなたにも
これから出会うあなたにも
一番近くにいるあなたにも
わたし自身にも
このきもちを素直に伝えたい

 

「わたしはあなたに会いたかった」

 

わたしはこの手で未来に会いにいく

2023年5月 近藤亜樹

展覧会について

近藤亜樹は子供の頃から自分が見たいことやものを描いてきた。描き起こすことでイメージの中でそれらに出会い、感動し、世界を理解することができた。絵画は心が還る場所であった。それゆえに近藤は何も描かれていない真っ白なキャンバスを前にすると不安になる。自分はちゃんと会いたい世界を、あたたかな世界を描けるのだろうか。それはいつも孤独な闘いである。繰り返すそのプロセスを近藤は現実の世界に重ね合わせる。長く辛い試練が起こり、私達の心は抑圧される。それでも雪が溶けるように、いつか心の奥底にある誰かに会いたいと思う気持ちは溢れだす。そしてわたしはあなたに会いたかったと気づき、声に出すことができれば、そのこと自体が大きな癒しとなりえるのだ。

 

本展は3.6mの大作をはじめ18点の新作で構成されている。描かれた人間も植物も動物もぬいぐるみも、みんな誰かに会いたい気持ちを抱えている。家族や友人や目には見えない存在に。そして過去や未来の自分にも。

 

ますます力強く進化し続ける、近藤亜樹の最新作をどうぞお見逃しなく。

2023年5月 シュウゴアーツ

展覧会情報

近藤亜樹個展「わたしはあなたに会いたかった」
会期

2023年6月10日(土) ‒ 7月22日(土)

会場

シュウゴアーツ

開廊時間

火〜土曜 11:00−18:00 (日月祝休廊)

企画

石井美奈子

出版情報

近藤亜樹『ここにいたんだね』

2023年7月26日発売、リトルモア刊

 

「絵は私が今ここに生きていることを認識させる 私にとって絵は光のかたまりだ」(本文より)
本書は近藤が描き続けている紙作品から84点を収録。
作家の言葉とともに絵をお楽しみいただける一冊です。

Aki KONDO | ShugoArts
近藤亜樹
Aki KONDO

1987年、北海道生まれ。山形県在住。近藤は力強い色彩と躍動感あふれる筆致であらゆる生命への希望や慈しみを描き続ける。「描くことは生きること」という近藤にとって、制作とは自らが見たい世界を描き出し、描くことで自己を認識するプロセスでもある。その創作はキャンバスやパネルにとどまらず、立体物や壁、天井といった空間全体にも自在に広がる。また、約14,000カットに及ぶ油彩アニメーションと実写を融合させた短編映画『HIKARI』では、脚本・監督・制作を手がけるなど、様々な表現活動で才能を発揮している。

 

主な展覧会に「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」水戸芸術館(茨城、2025)、「わたしはあなたに会いたかった」シュウゴアーツ(東京、2023)、国際芸術祭「あいち2022」(愛知、2022)、「星、光る」山形美術館(山形、2021)、作品集刊行記念展「ここにあるしあわせ」シュウゴアーツ/ フィリップス 東京/ 現代芸術振興財団(東京、2021)、「高松市美術館コレクション+ 身体とムービング」高松市美術館(香川、2020)、「心に花を」シュウゴアーツオンラインショー(2020)、「あの日を待つ 明日を待つ 今日」シュウゴアーツ(東京、2018)、「絵画の現在」府中市美術館(東京、2018)、「HIKARI」大和日英基金 大和ジャパンハウス(ロンドン、2016)、「HIKARI」シュウゴアーツ(東京、2015)、「近藤亜樹の生態」実家 JIKKA(東京、2013)、「PHANTOMS OF ASIA: Contemporary Awakens the Past」Asian Art Museum (サンフランシスコ、2012)など。2022年VOCA奨励賞受賞。