私の「家」は本当に私のものなのか?
反応体である自分の身体は私のものなのか?
国は誰のものなのか?
「家」は社会に含まれるのか?
「国民」は国に含まれるのか?
私の家は私の家なのかという疑問が生まれたときに、
私の家があなたの家である可能性がどれくらいあるのか?
2022年 山本篤
私の「家」は本当に私のものなのか?
反応体である自分の身体は私のものなのか?
国は誰のものなのか?
「家」は社会に含まれるのか?
「国民」は国に含まれるのか?
私の家は私の家なのかという疑問が生まれたときに、
私の家があなたの家である可能性がどれくらいあるのか?
2022年 山本篤
展覧会について
シュウゴアーツでは初めてとなる山本篤の個展を開催する。2003年、多摩美術⼤学絵画学科を卒業した山本篤は、ベルリンに渡りアーティストとしての道を模索していた最中に、ブルース・ナウマンの展示に出会い、アートを完成されたモノとしてではなく、現在進行形の行為としてアプローチするナウマンの手法に衝撃を受けた。以降山本は「作品がどう見えるかではなく、何がなされているか。HOWよりWHAT。クオリティよりアティチュード」という考えのもと、絵画から映像の世界へ転向し、「自分が本当に見てみたい」という「欲望」を燃料に身の回りのあらゆる材料を用いて手を動かし続けた。その結果として15年間で200本を超える映像作品を残すに至る。
山本篤, The Dream House, 2018-2022, UHD, 14min. 42sec.
山本篤, 光る木, 2021-2022, UHD, 5min. 45sec.
2018年から一年間、山本は安定した日常サイクルからの逸脱を求め、家族を連れてベトナム・フエに滞在した。経済的にも世代的にも変革を迎え、伝統的なコミュニティや戦争の傷痕が消えつつある彼の地において、山本は制作に向けられた自分自身の欲望は主体的なものではなく、環境によって様々に引き起こされる「反応」であると気づく。そして帰国後にコロナ禍に突入し、世界的に日常が日常でなくなり、他者との繋がりが大きく変化する中、在宅という閉ざされた状況の中で発生する自身の反応をつぶさに見つめることとなった。そうして山本は「家」というキーワードを物質的な側面に限定せず、個と個、個と国家、個と地球など、複数の概念の境界線として捉え、様々な関係性のリフレームを試みる。本展では帰る場所としての家、ドリームハウス、人間以外の存在にとっての家など、ベトナムとコロナ禍の日本で制作された映像作品を発表する。
2022年5月 シュウゴアーツ
山本篤, 木の家, 2019-2022, UHD, 11min. 30sec.
1980年東京都生まれ。多摩美術大学絵画学科卒業。2003年にベルリンへ渡り、映像制作を始める。2018年には文化庁新進芸術家海外研修でベトナム・フエに滞在。平日は会社員として働き、休日に撮影するスタイルを貫き、300本以上の作品を制作してきた。生きることの意味と無意味さを問う、社会派のフィクションから私的なドキュメンタリー、コント的な実験映像など多彩な作品を発表している。
主な展覧会に「寄る辺ない情念」黄金町バザール2024(2024)、「昨日の神殿」Art Center Ongoing (2024) 、「MY HOME IS NOT YOUR HOME」シュウゴアーツ(2022)、「DOMANI・明日展」国立新美術館(2021)、「MAMスクリーン07」森美術館(2017-18)、「ビデオアートプログラム 世界に開かれた映像という窓 第24回:山本篤」広島市現代美術館など。