わたしはどこに立っている

2021. 10. 30 Sat12. 18 Sat
シュウゴアーツ 六本木

左)森村泰昌, 青春の自画像(松本竣介/わたしはどこに立っている1 ), 2016/2018, 発色現像方式印画, 160x124cm, ed.5
右)三嶋りつ惠, STANDING, 2021, glass, 67×34.5cm

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左)森村泰昌, 青春の自画像(松本竣介/わたしはどこに立っている1 ), 2016/2018, 発色現像方式印画, 160x124cm, ed.5
右)三嶋りつ惠, STANDING, 2021, glass, 67×34.5cm

展覧会について

シュウゴアーツは2021年10月30日(土)より森村泰昌・三嶋りつ惠の二人展「わたしはどこに立っている」を開催いたします。

 

世界の美術史、20世紀の歴史的人物などに扮して写真によるセルフ・ポートレイトを制作する森村泰昌と、ヴェニス・ムラーノ島で吹きガラスによる制作を続ける三嶋りつ惠の共同プロジェクトはシュウゴアーツ初の試みです。

 

一見して交わるところのない二人のアーティストが今展のキーワードとしたのは、森村泰昌が扮した松本竣介の自画像作品でした。「わたしはどこに立っている」と題された本作は、若くして聴力を失いながら画家を志し、戦中の国防美術の流れにも果敢に抗った松本竣介の代表作《立てる像》(1942) が主題となっています。

 

アーティストは自己の立つべき地平に芸術の旗を棹さし、世界と対峙して表現活動を行います。日本の地から一貫して「わたし」を主題に近現代史を再構築する森村泰昌と、ヴェニスを拠点にガラスを素材とした光の形象を追求する三嶋りつ惠は、それぞれ独自に辿り着いた場所から、芸術における現れを発表し続けてきました。今日において私たち一人一人がどこにどのように立つのか、という問いかけは混迷の時代の中でより大きな意義を持って投げかけられます。

ShugoArts

森村泰昌, 自画像の美術史(デューラーの手は、もうひとつの顔である), 2016
発色現像方式印画、透明メディウム, 66x48cm, ed. 10

今展では森村泰昌の自画像の美術史シリーズより、松本竣介に加え、ヤン・ファン・エイク、デューラー、ダヴィンチ、カラヴァッジョ、ゴッホらをとりあげ、三嶋りつ惠がそれらの人物へ捧げる新作をヴェニスで制作します。森村は主題となる人物に扮するとき、歴史的な通説であるキャラクターになりきるのではなく、自己の解釈や想像力を駆使して新たな自画像を作り上げます。今回は三嶋りつ惠もまた、それらの人物を自らの視点で分析し、彼らはどのような作品を喜ぶだろうか、どのような光にふさわしい人物だろうかというペルソナを想定し、ガラスの贈り物をつくり上げます。

 

本展は森村、三嶋のコラボレーションであると同時に、過去のアーティストたちとのコラボレーションでもあります。幾層もの豊かなイマジネーションの世界で構築された本展は、時空を超えたアーティストたちの共演を楽しんで頂けるものとなるでしょう。ぜひこの特別な展覧会にご期待ください。

2021年9月 シュウゴアーツ

ShugoArts

三嶋りつ惠, ACQUASANTIERA, 2021, glass, 20×42.5cm

展覧会情報

森村泰昌・三嶋りつ惠「わたしはどこに立っている」
会期

2021年10月30日(土) ‒ 11月27日(土) 12月18日(土)

会場

シュウゴアーツ

開廊時間

火〜土曜 11:00−18:00 (日月祝休廊)

「アートウィーク東京」開催期間となる11月4日(木)〜7日(日)の4日間は、午前10時から午後6時まで開廊いたします。

企画

石井美奈子

オープニングレセプションは開催いたしません。新型コロナウィルス対策のため開廊時間を短縮しておりますのでお出かけの際にはご注意ください。
Ritsue MISHIMA | ShugoArts
三嶋りつ惠
Ritsue MISHIMA

1962年京都生まれ、1989年からヴェネツィアに移住、2011年より京都にも住まいを構え、二拠点を往復する生活を送る。ムラーノ島のガラス職人とのコラボレーションにより、ヴェネツィアン・ガラスの透明度や粘度を活かした、周囲に溶け込みながら光の輪郭を描き出す無色のガラス作品を制作する。空気や光を取り込んでその場のエネルギーを表現する作品は公共空間でのアートワークとしても評価が高く、近年では美術のみならず建築やファッション、デザインとジャンルを横断した活躍が続いている。2022年にヴェネツィア・国立アカデミア美術館で開催した個展「RITSUE MISHIMA ‒ GLASS WORKS」でThe Italian Glass Weeks ヴェネツィア部門の「最優秀プロジェクト賞・Fondazione di Venezia Award」を受賞。同年にBVLGARI AVRORA AWARDS 受賞。

 

主な個展に「祈りのかたち」シュウゴアーツ(東京、2023)、「RITSUE MISHIMA ‒ GLASS WORKS」国立アカデミア美術館(ヴェネツィア、2022)、「光の場」シュウゴアーツ(東京、2019-2020)、「IN GRIMANI」国立パラッツォ・グリマーニ美術館 (ヴェネツィア、2013)、 「あるべきようわ」資生堂ギャラリー (東京、2011)、「Frozen Garden / Fruits of Fire」ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン 美術館 (ロッテルダム、2010) 。
主なグループ展に「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」東京都庭園美術館(東京、2024)、「アジア回廊 現代美術展」二条城 (京都、2017)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」横浜美術館(神奈川、2014)、「第 53 回ヴェネツィアビエンナーレ 」ヴェネツィア館 (ヴェネツィア、2009)など。

MORIMURA Yasumasa | ShugoArts
森村泰昌
MORIMURA Yasumasa

1951年、大阪府大阪市生まれ。大阪市在住。1985年に初めてのセルフポートレイトの作品《肖像/ゴッホ》を発表する。それ以降、「わたし」という一貫したテーマを持ち、様々な題材で「なにものかに扮するセルフポートレイトにまつわる作品発表し続けている。制作はモチーフとなる人物/作品について、念密なリサーチとジオラマ、スタジオセットの作成、コスチュームやメイクなどの創作過程を通じ、独自の視点から対象に迫る2018 年にはアーカイブや自主企画展示を見ることができるM@M(モリムラ@ミューシジアム)を設立

 

主な展覧会にYasumasa Morimura and Cindy Sherman: Masquerade」M+(香港、2024)、「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」京都市京セラ美術館 東⼭キューブ(京都、2022)、「M式「海の幸」—森村泰昌 ワタシガタリの神話」アーティゾン美術館(東京、2021)、「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020––さまよえるニッポンの私」原美術館(東京、2020)、「Yasumasa Morimura. The history of the self-portrait」プーシキン美術館(モスクワ、2017)、「森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うとき」国立国際美術館(大阪、2016)、「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」資生堂ギャラリー(東京、2013)、「なにものかへのレクイエム—戦場の頂上の芸術」東京都写真美術館(東京)/豊田市美術館(愛知)/広島市現代美術館(広島)/兵庫県立美術館(兵庫)2010-2011 巡回 など。主な著作に『自画像のくえ』(光文社新書)、『美しいってなんだろう?美術のすすめ』(理論社)、『美術の解剖学講義』(ちくま学芸文庫)、『芸術家Mのできるまで』(筑摩書房) など。主なコレクションに 原美術館(東京)、金沢21世紀美術館(石川)、国立国際美術館(大阪)、京都国立近代美術館(京都)、東京都写真美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)、Art Gallery of New South Wales (Sydney, Australia) 、Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía (Madrid, Spain), Museum of Modern Art (New York, USA)、San Francisco Museum of Modern Art (San Francisco, USA)、Whitney Museum of American Art (New York, USA) など。