今回の展覧会に思いをはせ、心を静めていると、
ふと、この言葉が浮かんできた。
星々(ほしぼし)とは、宇宙の彼方から見た人々、
今この瞬間を生きている私たち。
ひとつひとつが愛おしく、
私たちに秘められた透明なひかり、生の輝き。
三嶋りつ惠
今回の展覧会に思いをはせ、心を静めていると、
ふと、この言葉が浮かんできた。
星々(ほしぼし)とは、宇宙の彼方から見た人々、
今この瞬間を生きている私たち。
ひとつひとつが愛おしく、
私たちに秘められた透明なひかり、生の輝き。
三嶋りつ惠
展覧会について
透明なガラス作品を作り続けている三嶋にとって、光こそが作品を彩る唯一無二の重要な要素であり、光に依拠するというよりは積極的に光を活かすこと、光のエッセンスによって作品を息づかせることが主眼になっているかのようです。
作品は周囲の光と空気を取り込むことに常に開かれようとしていますが、ある意味三嶋は、画家が絵の具を用いて作品を彩るように、光を特別な絵の具のように扱っているとも言えるかもしれません。
展覧会タイトルにある「星」という存在もまた、光の別称と言えるでしょう。光を発するものとして、あるいは光の受け皿として存在し続ける星こそ光の別名であり、作家が星に何かしらの意味を託し続ける理由ももっともなことと言えます。
日本、イタリアのみならず、ベルギー、オランダ、アメリカと活動の場が拡がり、今や現代ヴェネチアン・グラスの代表的なアーティストとしての位置を確立した三嶋ですが、もともとガラスを志してヴェニスに住み着いたわけではない彼女は、30歳を過ぎてからヴェネチアン・グラスに全てを賭けることで自身の芸術家としての人生を切り拓きました。そういう意味では三嶋りつ惠はヴェニスという土地が生んだ芸術家と呼ぶことができますし、粘性の高いヴェニスのガラスの特性が三嶋の生気に溢れる肯定的な作風にフィットしています。「直感の人」三嶋りつ惠のたぐいまれな人生に、三嶋芸術の始まりとその展開を重ね合わせることはまことに興味深いことです。
三嶋りつ惠は1962年生まれ。1989年にヴェニスに移住。現在は京都とヴェニスを行き来しています。目下3月20日まで東京の菊池寛実記念 智美術館にて開催の「第2回菊池寛実賞 工芸の現在」展に出品中。これまでにクレマチスの丘リストランテ・プリマヴェーラ、ザ・リッツ・カールトン京都のロビーなど公共空間での委託制作にも才能を発揮しています。
シュウゴアーツ 佐谷周吾
展覧会情報
2017年2月18日(土) – 2017年4月1日(土)
シュウゴアーツ
火〜土曜 午前11時 – 午後7時, 日月祝休廊
*本展覧会は日曜日も休廊となります。
2017年2月18日(土) 午後4時より
ドリンク提供: ペリエ ジュエ
1962年京都生まれ、1989年からヴェネツィアに移住、2011年より京都にも住まいを構え、二拠点を往復する生活を送る。ムラーノ島のガラス職人とのコラボレーションにより、ヴェネツィアン・ガラスの透明度や粘度を活かした、周囲に溶け込みながら光の輪郭を描き出す無色のガラス作品を制作する。空気や光を取り込んでその場のエネルギーを表現する作品は公共空間でのアートワークとしても評価が高く、近年では美術のみならず建築やファッション、デザインとジャンルを横断した活躍が続いている。2022年にヴェネツィア・国立アカデミア美術館で開催した個展「RITSUE MISHIMA ‒ GLASS WORKS」でThe Italian Glass Weeks ヴェネツィア部門の「最優秀プロジェクト賞・Fondazione di Venezia Award」を受賞。同年にBVLGARI AVRORA AWARDS 受賞。
主な個展に「祈りのかたち」シュウゴアーツ(東京、2023)、「RITSUE MISHIMA ‒ GLASS WORKS」国立アカデミア美術館(ヴェネツィア、2022)、「光の場」シュウゴアーツ(東京、2019-2020)、「IN GRIMANI」国立パラッツォ・グリマーニ美術館 (ヴェネツィア、2013)、 「あるべきようわ」資生堂ギャラリー (東京、2011)、「Frozen Garden / Fruits of Fire」ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン 美術館 (ロッテルダム、2010) 。
主なグループ展に「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」東京都庭園美術館(東京、2024)、「アジア回廊 現代美術展」二条城 (京都、2017)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」横浜美術館(神奈川、2014)、「第 53 回ヴェネツィアビエンナーレ 」ヴェネツィア館 (ヴェネツィア、2009)など。