シュウゴアーツ オンラインショー
山本篤・映像小屋3 —残光

Upcoming
2025. 7. 26 Sat8. 30 Sat
シュウゴアーツ オンライン
Upcoming

展覧会について

2025年夏、シュウゴアーツは映像作家・山本篤によるオンラインスクリーニング企画「映像小屋3 ―残光」を開催いたします。本企画は2023年より続く連続シリーズ「映像小屋」の第3弾です。

山本篤は多摩美術大学で絵画を学んだのち、ベルリンへの留学をきっかけに映像制作へ転向しました。表現の上で、何をどう作るかではなく、何がなされているかを追求し、「自分が本当に見てみたい」世界を視覚化するために、身の回りのあらゆるものごとを用いて、膨大な数の作品を作り続けています。

一昨年は「小屋」を切り口に、仮設的な空間から発生し、ザンビアの映画館、灯台、プールなど「場」に関する作品群を発表。昨年は「時」に焦点を当て、宇宙的な時間の広がりから四季の巡り、線香が燃え尽きる時間、涙が流れる瞬間まで、さまざまな時間のかたちを表現しました。

3年目となる今年は、昨年12月に亡くなった自身の祖父と、遺された家やものから着想を得て制作された新作6本を発表します。高度経済成長期に東京の郊外に建てられた広大で堅牢な家、庭、テニスコートには、長年住む中で改築されてきた痕跡や、さまざまな日用品、調度品、土産物、書物などで溢れています。祖父母の在りし日には意識されなかったものたちが、主人が不在となった空間で存在感を放ち、記憶を呼び起こします。

ShugoArts

山本篤, 魂の流れ, 2025

ShugoArts

山本篤, 留めることはできず、失い続けていく, 2025

寡黙だった祖父本人よりも、残されたノートや写真など“物”を通しての方が、より手触りを持って、祖父がどんな人間だったのかを具体的に感じられた気がしました

ShugoArts

山本篤, 私たちの練習, 2025

祖父という存在を追いながら、山本は「人の実体とは何か」「魂はどこに宿るのか」「定まらない『自分』という存在を、この世界に留めるものは記憶のほかにあるだろうか」といった根源的な問いに向き合います。そして、制作の過程を通じてアーティスト自身もまた、過去に作った作品によって形づくられているという事実を再認識します。しかし、そうして生み出された作品が家族や社会にとってどのような意味を持つのかは必ずしも明らかではありません。

ShugoArts

山本篤, 3カウント, 2025

ただ、自分にとっては、それが意味や価値といった一般的な尺度で測れるものではなく、その固定化された形こそが自分自身のかたちであり、自分の人生のかたちだと考えています。

ShugoArts

山本篤, テニスコート・ステージ・ドラム, 2025

つまり今回、私は祖父の死を起点として『残されたモノ(物)』を通して、『残されたモノ(者)』としての私が、『残すモノ(者)』としての自分と、『残すモノ(物)』について考えている。と言えるかもしれない。

ShugoArts

山本篤, 世界, 2025

「残光」のように儚くも連なる日々を暮らす私たちへ向けた選りすぐりのラインアップを、今年もどうぞお楽しみください。

2025年7月 シュウゴアーツ

プログラム

1. 魂の流れ
2. 留めることはできず、失い続けていく
3. 私たちの練習
4. 3カウント
5. テニスコート・ステージ・ドラム
6. 世界

展覧会情報

シュウゴアーツ オンラインショー
山本篤・映像小屋3 —残光
公開期間

2025年7月26日(土) − 8月30日(土)
期間中、本ページにてご覧いただけます。

Biography
Atsushi YAMAMOTO | ShugoArts
山本 篤
Atsushi YAMAMOTO

1980年東京都生まれ。多摩美術大学絵画学科卒業。2003年にベルリンへ渡り、映像制作を始める。2018年には文化庁新進芸術家海外研修でベトナム・フエに滞在。平日は会社員として働き、休日に撮影するスタイルを貫き、300本以上の作品を制作してきた。生きることの意味と無意味さを問う、社会派のフィクションから私的なドキュメンタリー、コント的な実験映像など多彩な作品を発表している。

 

主な展覧会に「寄る辺ない情念」黄金町バザール2024(2024)、「昨日の神殿」Art Center Ongoing (2024) 、「MY HOME IS NOT YOUR HOME」シュウゴアーツ(2022)、「DOMANI・明日展」国立新美術館(2021)、「MAMスクリーン07」森美術館(2017-18)、「ビデオアートプログラム 世界に開かれた映像という窓 第24回:山本篤」広島市現代美術館など。