ShugoArts

イケムラレイコ

あの世のはてに

2017.9.9 Sat - 10.7 Sat

Leiko Ikemura, Genesis I, 2015 - 2017, tempera on jute, 190 x 290 cm
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開廊時間: ⽕〜⼟曜 午前 11 時 - 午後 7 時, ⽇⽉祝休廊
オープニングパーティー: 2017 年 9 ⽉ 9 ⽇(⼟) 午後 5 時より

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Leiko Ikemura, Sleeping under Trees    2017, glazed terracotta, 27×31.5x22cm
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シュウゴアーツはイケムラレイコの新作展「あの世のはてに」を‪9月9日‬より開催します。

イケムラレイコは当時隆盛を極めた学生運動から離れ、日本からも離れ、スペインに単身渡った後に美術と出会い、1979年にスイスに移り本格的に作家活動を始め、90年代には拠点をベルリンに移しつつ精力的に美術館、ギャラリーなどで発表を続けて今日に至っています。

90年代に入ると日本でもイケムラレイコの存在はますます知られるようになり、2011年夏から東京国立近代美術館と故郷の三重県立美術館で大規模な回顧展を開催し、その展示の空間の美しさが語り継がれるとともに、アーティストとしての評価を不動のものにしました。

今やスイスの人びとからはスイスのアーティストとして、ドイツの人びとからはドイツのアーティストとして、日本の人びとからは日本のアーティストとして見なされ、いずれにおいても高い尊敬と評価を得ているのは、稀有な人生の道程を自らの意志で切り拓き、歩んできたことの必然的な結果とも言えるでしょう。

人工知能に我々が制御されるかもしれない時代がそこまで迫っています。そのなかで、芸術の根源に向かおうとする眼差し、人間性及びそれを取り巻く今日の世界に対する注意深い思索、必要な技術は制作の現場で作りながら獲得していく実践、この三つの営みの間の循環・往還運動によって自己の仕事を更新し続けようとするイケムラレイコの作品群は、人が人の手によって生み出す「芸術」とはいかなるものかという問いに対するひとつの誠実な回答として私たちの目の前に提示されていると言えるでしょう。

イケムラレイコはヨーロッパにありながら折にふれ日本を想い続けていました。そんな彼女にとって2011年の東日本大震災は、幼少の頃に自然災害で被災した記憶を蘇らせるに余りあるショッキングなものでした。その頃と前後して始めていたペインティングは以前よりも大きい画面に描くようになり、風景のようだが風景画ではない、気配の集合体のような、人が人になる前、ものがものになる前、あるいはこの世ではないどこかを表現しようとしているかのようなものでした。

今回発表される作品群は、その風景画ならざる作品の相貌がより明らかになり、今まで自身の作品に登場してきた人や動物や木が変容して、その気配の集合体の一部と化したかのようなイケムラ的ユニヴァースを披露するものになっています。

ひとつの国を越えて、ひとつの文化を越えて、インターナショナリズムをも越えて、宇宙的観点もって制作に臨むことを旨とするイケムラレイコの新世界をご高覧頂ければ幸いです。

シュウゴアーツ 佐谷周吾

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Leiko Ikemura,  L2    2012, pigment, ink, oil on jute, 120x160cm