ShugoArts

髙畠依子

MARS

2020.10.24 Sat - 11.28 Sat

シュウゴアーツは2020年10月24日より髙畠依子の個展「MARS」を開催いたします。
開廊時間を正午から午後6時までとし、お客様の安全を最優先に営業いたします。

髙畠依子「MARS」
会期:2020年10月24日(土) – 11月28日(土)
会場:シュウゴアーツ 106-0032 東京都港区六本木6丁目5番24号 complex665 2F
火〜土曜 正午 – 午後6時(日月祝休廊)
*オープニングレセプションは開催いたしません。新型コロナウィルス対策のため開廊時間を短縮しておりますのでお出かけの際にはご注意ください。

オンラインカタログ(出品作品リスト)
展覧会プレスリリース PDF

髙畠依子
作品と略歴
ライブラリー

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展覧会について

シュウゴアーツは2020年10月24日より髙畠依子の個展「MARS」を開催いたします。

髙畠は「変幻自在のマテリアルである絵具と、無限の織り構造をもつキャンバス。この二つをどのように掛け合わせ、一つの絵画を作り出せるか」という考えのもと、大学院在学時代に織物の構造から着想し、細く絞り出した油絵具の線を用いた絵画の制作を始めました。その後はさらに、「風」や水圧で絵具を吹き飛ばすといった物理的な力や動きを取り入れた制作手法を生み出していきます。その作品はしばしば物質の現象を絵画表現として成立させるための仮説に基づいた実験を経て制作されるため、科学的・工学的なアプローチと評されてきました。

我々が存在する世界の現象へ向けられた多大な好奇心が髙畠依子の原動力となっていることは間違いありません。2018年にシュウゴアーツで「水」による作品の発表を行ったあと、翌年にはソウルにて「火」による熱の変成作用を用いて制作されたシリーズを披露しました。いずれも観察を通して絵具の未知なる特性を追求する行為が制作の基盤に据えられています。その一方で理系的アプローチだけを拠り所とするのではなく、水を創造の源泉、熱を生命の誕生と捉えるなど芸術家としての豊かな感性が、制作技術や科学的事物の単なる援用に陥らない深みを作品に与えています。しかしながら感覚的な表現は髙畠にとっては主眼ではなく、裏付けと具体的な手法を用いて新たな視覚芸術の提示を果敢に試みる真摯な姿勢には、イタリアルネサンスから印象派、抽象表現主義に及ぶ自然科学と人文科学の調和を目指した芸術家たちの系譜を思い起こさせるものがあります。

 

左から)髙畠依子《ヴィーナス, 噴火 PR3 》2019; 《ヴィーナス, 熱圧 PBk6 PW6 PM1》2019; 《ヴィーナス, 燃 PR3 》2019. シュウゴアーツショー展示風景, 2019

 

今回は新たに「磁力」に対する考察をもとに新作の展示を行います。「火」の制作を行った際に、焼け焦げて炭化した絵具をみて触発されたという本シリーズは、酸化鉄から成る黒色顔料・マルスブラックと強力な磁力を用いて制作されています。キャンバスに絞り出された絵具の線が磁場に接し、磁力の反発や引き合いによって形を変容します。従来の手法に比べ、より瞬時に素材の力を引き出し結晶化させることで強固な画面を現出させています。地表の岩石や砂に酸化鉄を多く含む惑星MARS(火星)になぞらえて題されたタイトルの通り、表層からその内奥へ迫る意欲的な作品群です。

髙畠依子, MARS, 2020, acrylic, pigment, iron sand on canvas, 41x32cm

 

キャンバス下に磁石を設置し、キャンバス上に直線を引き重ねる。目には見えない磁力によって、絵具は引き寄せられ、弧を描き、逆立つ。

髙畠依子

 

思えば2020年は我々が自然界の目に見えない存在に脅かされ、既成概念に警鐘を鳴らされた年でした。本来の世界に属するものごとの在りようを冷静に受け止めその本質を探り、知的興味に導かれて新たな表現への到達を目指す高畠の絵画は今こそ大きな意義をもって立ち現れ、絵画の未来を照らし出すのではないでしょうか。

2020年9月 シュウゴアーツ

 

髙畠依子, MARS, 2020 (detail)