シュウゴアーツショー リー・キットとアンジュ・ミケーレ
展覧会について
シュウゴアーツでは1月14日より、リー・キットとアンジュ・ミケーレの新作を発表する。二人のアーティストは直接の繋がりはないが、冬の透き通った空気の中、繊細で美しい光を表現する両者の作品をぜひ見たいという思いからこの時期に展覧会の運びとなった。

アンジュ・ミケーレ, floating orchid, 2022, oil on aluminum paper mounted on panel, 123x99cm
アンジュのアトリエは京都の豊かな自然に囲まれた場所にある。畳にパネルを敷き詰め、季節や天候に関わらず、庭から入る光を受けて制作をしている。パネルの上には銀色の紙素材が貼られており、わずかな光も捉えることができる。一刻一刻と変わり続ける光の動きにアンジュの心と身体が感応することによって、次々とイメージが生み出されていく。今展ではふわりと空中に浮遊するような様々な形象が登場する。

リー・キット, Undress the gaze, 2022, acrylic, emulsion paint, inkjet ink and pencil and color pencil on cardboard, 46x38cm
香港出身のリー・キットを取り巻く環境は、ここ数年の世界の揺れ動きと連動するように、大きく変化した。以前の日常から失われたものは決して元に戻ることはない。変化を受け入れ、前に進むリー・キットにとって、影を落とし、揺れ動きを反射し、ものの姿を顕にする光は今まで以上に大切な絵画の要素となる。今展ではプロジェクション作品も含めて、花を題材にした作品など3点が展示される。
2023年もシュウゴアーツのプログラムをお楽しみください。
展覧会情報
リー・キットとアンジュ・ミケーレ
リー・キット、アンジュ・ミケーレ
2023年1月14日(土) – 3月10日(金)
シュウゴアーツ
火〜土曜 12:00−18:00 (日月祝休廊)
石井美奈子
1978年香港生まれ。台北を拠点に欧米アジア各地で滞在制作を行い活躍。プロジェクターによる光、映像、音、言葉やファウンド・オブジェなどのメディアを素材として用いながら制作される作品からは、常に絵画表現を先鋭的に拡張していこうとする意思が読み取れる。世界情勢に揺れ動いてきた都市、香港を出自にするリーは、同時代の社会や政治状況に問題意識を持って向き合っている。様々な土地の空気や感情を反映させたサイトスペシフィックな展示空間は、繊細な表現を通して観客に社会や他者との関係性を想起させる。
主な個展に「息をのむような虚ろな視線」シュウゴアーツ(東京、2023)、「Iʼll take (A).,」Hong-gah Museum(台北、2023)、「Lovers on the Beach」West Den Haag(デン・ハーグ、2021-2022)、「(Screenshot)」シュウゴアーツ(東京、2020)、「Resonance of a sad smile」 Art Sonje Center(ソウル、2019)、「僕らはもっと繊細だった。」原美術館(東京、2018)、「The Enormous Space」OCAT Shenzhen(深圳、2018)、「Not untitled」シュウゴアーツ(東京、2017)、「A small sound in your head」S.M.A.K(ゲント、2016)、「Hold your breath, dance slowly」ウォーカーアートセンター(ミネアポリス、2016)、「The voice behind me」資生堂ギャラリー(東京、2015)、ヴェネチアビエンナーレ香港代表(ヴェニス、2013)など。
1989年ヴェネツィア生まれ。京都在住。 西陣織の材料となる銀や金のアルミ蒸着紙を支持体に使用し、光の変化にうつりゆく絵画を発表している。「行為から描きはじめている」という身振りからはじまる制作は、形容し難い有機的で軽やかなかたちとして表れ、普段、私たちが目にしている現実とはことなる世界があることを教えてくれる。そして外の音が聞こえづらいアンジュの身体は、豊かな感覚を育み、自由で恐れのない筆使いを見せてくれる。
主な展覧会に「空円」シュウゴアーツ(東京、2024)、「光の中へ」代官⼭T-SITE(東京、2023)「イマジナリウム」シュウゴアーツ (東京、2020)、「VOCA2020」上野の森美術館(東京、2020)、「ヨコハマトリエンナーレ」横浜美術館 (横浜、2014)、「自由について」TRAUMARIS (東京、2011)、「愛の過現未」HIGURE17-15cas (東京、2009)、「Infanzia」CUBE GALLERY(ヴェネツィア、2005)