2016. 10. 21 Fri12. 24 Sat
シュウゴアーツ 六本木

Thrice Upon A Time

 

美しい光は理屈抜きに喜びなんだけど、、クソみたいなもんにgive pleasure される事があるんだよね。
ビューティフルっていうのは物や人の外観のクオリティーだけじゃないからさ。。
クソみたいな物や人間のなかにある、或るクオリティーがやたらビューティフルだって事はよくあるだろ。デュシャンの便器とか、ウオーホル、ゴッホ、カラヴァッジョ、ムラカミ、みんなそうなんじゃない?だってアートは物の優劣じゃない。

 

だから紙一重なんだよねー。おれの理想卿はいっつもボーダーの辺。非道い絵、つまり道に非ず!『美しい絵とひどい絵』それらが絵の星の家族に思えて、家族みたいに一緒くたに住んでる、っていうか壁に掛かっていたり外れていたり床に置いてあったり、天使も空も林檎もヌードも抽象画も、、星の欠片みたいなのも、、 FAMILY、、絵の家族だよね、、、。美と糞のボーダーに建ってる絵の家族の小屋、、その原っぱに馬が居たんだ。笑。

 

Once upon a time,, Twice upon a time,,,Thrice upon a time,,,,,,,,,,そこにいたカウボーイカウガール。

 

小林正人
鞆の浦のアトリエにて 2016年8月

展覧会について

小林正人の作品には、破壊するのではなく生成するという意味での「生」が横溢しています。絵の制作がキャンバスを張るときからすでに始まっていて、キャンバスを張り終わるときが完成であるという、理屈では可能だが実現は困難な手法に行きついたのは80年代の半ば、小林正人が20代のときでした。

画家として生きることを決心し、新しい芸術を目指した若き日の小林正人が、大学時代に吸収したラスコーなどの洞窟壁画から20世紀ミニマリズムまでの大きな芸術の流れを前にして、己の芸術表現の立脚点を求めたその先に待っていたのは、「白いキャンバスを木枠に張ってから描き始めるのではすでに遅い」「ミニマリズムまで行った後の芸術の世界で依然として芸術様式的に意義のある絵を描こうとするならば、新しい手法を獲得しなければ描き始めるわけにはいかない」という必然的かつ誠実な、しかし困難に充ちた命題でした。

 

印象派、セザンヌ、マティスを経てポロック、ニューマン、ロスコ、ステラなどのアメリカ抽象表現主義の流れ、ミニマリズム、コンセプチュアリズムが日々論じられ、絵画とは呼ばず「平面」と呼ぶのがならわしであったそのような時代の小林正人には、具体も実験工房も浮世絵もいかなる主義も眼中にはなく、東京・国立のアトリエで孤高の中に今に至るオリジナルな手法を獲得したのでした。

1997年に伝説的キュレーターとなったヤン・フート(1936 -2014) の誘いに応じてベルギー・ゲントに渡欧したのはそれから10年以上先のことで、小林はそこで初めて作品を床に置き立て掛けるという、絵画の掟を破る展示に到達します。いち早く彼の真の独創性に気付いたのはヤン・フートだけではなく、彼の作品に遭遇した蔡国強やKris Martin、Sislej Xhafaといった何人かのアーティスト達でした。その後日本へ戻った現在も後進のアーティスト達に影響を与え続ける小林の存在はArtist’s artistと呼ぶにふさわしいものでしょう。

「昔々」の三乗に当たるThrice Upon A Time と名付けられた本展は、そうした小林正人の感慨にも似た自身の人生とルーツを振り返ったときふとつけられたタイトルです。
疾走を続ける小林が今時空を超えたある種の宿命を感じ、ShugoArtsの新スペースをオープンさせます。

六本木に移転したシュウゴアーツの新しいスペースのこけら落としとなる今展覧会 Thrice Upon A Time にお運びいただければ幸いです。

 

シュウゴアーツ 佐谷周吾

展覧会情報

小林正人個展「Thrice Upon A Time」
会期

2016年10月21日(金) – 12月4日(日)

会場

シュウゴアーツ

開廊時間

火〜土曜 11:00−19:00 (日曜 12:00-18:00, 月祝休廊)

オープニングパーティー
日時

10月21日(金) 19:00 – 21:00

会場

シュウゴアーツ

トークショー
登壇者

小林正人+青木淳, モデレーター: 保坂健二朗

日時

10月21日(金) 18:00 – 19:00

要事前お申し込み

event@shugoarts.com

Masato KOBAYASHI | ShugoArts
小林正人
Masato KOBAYASHI

1957年東京生まれ。1996年サンパウロビエンナーレ日本代表。1997年ヤン・フート氏に招かれ渡欧、以降ベルギー・ゲント市を拠点に各地で現地制作を行う。2006年に帰国、福山市・鞆の浦を拠点に活動。2017–2023年東京藝術大学教授。「存在することで少しも失墜しない絵画」を目指し、カンヴァスの布地を片手で支えながら擦り込むようにして色を載せ、同時に木枠に張りながら絵画を立ち上げていくという独自の手法を編み出した。 その状況でしか生まれ得ない作品形態と独自の明るさをもつ絵画を生み出し続けている。

 

主な個展に「自由について」シュウゴアーツ(東京、2023)、「この星の家族」シュウゴアーツ(東京、2021)、「画家とモデル」シュウゴアーツ(東京、2019)、「ART TODAY 2012 弁明の絵画と小林正人」セゾン現代美術館(長野、2012)、「この星の絵の具」高梁市成羽美術館(岡山、2009)、「STARRY PAINT」テンスタコンストハーレ(スウェーデン、2004)、「A Son of Painting」S.M.A.K(ゲント、2001)、「小林正人展」宮城県美術館(宮城、2000)など。主な著作に『小林正人 MK』(HeHe、2024)、『この星の絵の具[中]ダーフハース通り52』(アートダイバー、2020)、『この星の絵の具[上]⼀橋⼤学の⽊の下で』(アートダイバー、2018)。主なコレクションに、いわき市立美術館(福島)、ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡)、宇都宮美術館(栃木)、S.M.A.K. /ゲント市⽴現代美術館(ゲント)、東京国⽴近代美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)、宮城県美術館(宮城)など。