ShugoArts

丸山直文
夜みる夢を構築できるか
2013年11月22日(金)- 12月21日(土)
ShugoArts


丸山 直文 Naofumi MARUYAMA
夜みる夢を構築できるか
2013, acrylic on cotton, 27.5x41cm


会 期| 2013年11月22日(金) – 12月21日(土)
開廊時間| 12:00 – 19:00
休 廊 日| 日・月曜日、祝日

丸山 直文 Naofumi MARUYAMA
hill and sheep
2013, acrylic on cotton, 181.8×227.3cm

丸山 直文 Naofumi MARUYAMA
December
2013, acrylic on cotton, 72.7x91cm


自身の内側を表現する為の絵画ではなく、「他者」と関わる事を自覚する事によって生まれる絵画。より広がりのある風通しのいい作品にしたい。

311以降という言葉はあまりにも多く使われ、ここで僕が又この言葉を繰り返す意味がどれほどのものかと思ったりします。しかしやはり語らずにはいられないのです。311は大きな衝撃でした。地震・津波・原発の事故はもとより、今まで社会に対して自分がある程度納得して理解し整理してきたものが全て裏切られ崩れ落ちていく思いでした。というか僕が全て理解していると思っていたものは僕からの一方的な視線の上で成り立っている世界でしかなかったように思います。それで世界を見るには世界の外に立って見る視線が必要なのではないかと漠然と思う様になっていきました。

それは制作に対しても影響を及ぼしました。今まで僕の内側を表出するための道具だと思われていた筆、絵具、キャンバス、また作品を鑑賞してくれるオーディエンス、それらを一度全て自分から切り離し、想像を超えた外部に存在する「他者」として捉えてみたら世界はどう見えてくるのか。その上で制作するということは何を意味するのか、またそのことにより何が立ち上がって来るのか。

僕の作る作品はいつも流動的で不安定なものです。その不安に居たたまれず、ついそれを力ずくでコントロールしようとすることがあります。しかし、そうすることによって逆に自分がコントロールされてしまう。それらと自分との関係を解放してあげること快方してあげること。それによって世界を外側から読み取ることは出来ないか。考えてみればそれはただスタジオの中で夢見ているに過ぎません。往々にして絵描きは無理だと分かっていても傲慢なもので世界の有り様を描けると思ってしまうのです。

丸山直文


丸山直文は、常にステイニング(滲みやぼやかしによって描く技法)と向き合い制作しています。以前まではコットンキャンバスを、映像が投影されるスクリーンとして捉えていたならば、現在は水たまりのように捉えていると言います。風が吹けば水面は揺らぎ、雨の日にはたっぷりの水を蓄え、晴れの日が続けば消えゆく水たまり。スクリーンとは違い、支持体ですら外界との関わりによって形を変えるとき、画家は頭の中で思い描く絵画を現実に構築することができるのでしょうか。

近年の作品はより抽象的に見え、例えば描かれている家のような形も、注意深く見ていると単に記号的なしみの集まりのようで、それが果たして家なのか、家のように見える何かなのか、その瞬間だけ家に見えただけなのか、判断するのは困難です。加えて、故郷の情景や、蝶が不規則に飛び回った軌跡、誰かのお気に入りの洋服の柄、夢の中の色、のような丸山の記憶の断片、日常の欠片を、時代も場所も背景も大きさもバラバラにかき集めパッチワークのように繋ぎ合わせて、ひとつの画面に現象として定着させているかのようです。

私たちは、皮膚を隔てるとすぐその周りをぐるりと他者に囲まれて生活しています。支持体も、イメージも、環境も、あなたも、わたしも、全てのエレメントが安定しない揺らぎの中で画家は描き、他者はそれを見つめます。他者をコントロールすることはできないと言いながらも、それでも他者と自己を繋ぐものとして描き続ける画家と、画家のいう「世界」を理解することは到底できないと知りながらも、見続ける私たちの関係の矛盾性も、作品から受け取ることができるかもしれません。


丸山直文は1964年新潟県生まれ、東京を拠点に活動をしています。主な個展に2010年「透明な足」シュウゴアーツ、2009年「丸山直文–後ろの正面」目黒区美術館(東京)、主なグループ展に2012年「キュレーターからのメッセージ 2012 現代絵画のいま」兵庫県立美術館(兵庫)、2010年「椿会展2010 Trans-Figurative」資生堂ギャラリー(東京)、2006年「ベルリン–東京」Neue National galerie(ベルリン)、2005年「秘すれば花」森美術館(東京)、2003年「ハピネス:アートに見る幸福への鍵」森美術館(東京)、など。シュウゴアーツでは3年ぶりの個展となります。

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