ShugoArts

森村泰昌
荒ぶる神々の黄昏 / なにものかへのレクイエム・其の弐

2007年12月22日(土)− 2008年2月16日(土)


森村泰昌 MORIMURA Yasumasa
なにものかへのレクイエム(遠い夢/チェ)
2007, gelatin silver print, 120x96cm, ed.10

シュウゴアーツでは森村泰昌の新作写真と映像作品による個展 「荒ぶる神々の黄昏/なにものかへのレクイエム・其の弐」 をMAGIC ROOM?の協力のもと二会場にて開催します。昨年末、日本中の話題をさらったレクイエムシリーズの第二弾となる本展は、前作に引き続き「20世紀とは何であったか」をモリムラ流に検証する批評性をもった作品群で構成されます。展示は大型写真6点、映像作品2点のほか小品などもふくめ約16点の作品による見応えのある内容になっています。

森村はレーニンやゲバラといった20世紀の偉人・英雄が21世紀にもし生きていたら、彼らが現代をどのように捉えるか、その想像を手がかりに作品世界をつくりあげていきます。20世紀的なるものを検証し21世紀という現代とはどういう時代なのかを想像力でもってとらえることは、単純に過去を回帰したり否定することとは異なるのです。去り行く過去の歴史に深い敬意を払い記憶に深くとどめながら、我々の現在そして未来にむかって「レクイエム(鎮魂歌)」を森村は捧げているといえるでしょう。

かつて私は、映画女優をテーマとした作品群(通称、女優シリーズ)を制作しましたが、あれは20世紀的なるもののうち、「女性的なるもの」にフォーカスしたシリーズでした。20世紀における「女性的なるもの」の価値はどこに見いだせるかというと、「映画」のなかにあったと私はとらえました。「映画」の中で(極端にいえば、映画の中でのみ)、「女性的なるもの」は、光り輝く主人公であり、世界の中心として現れた。それが「女優」だったと、私は思っています。
では現実世界ではどうかというと、その主人公は「男性的なるもの」であったと言えるでしょう。ではそれはどこに見られるかというと、「政治」の世界、そして「政治」と関係の深い「戦争」の世界という「荒ぶる世界」だった思います。20世紀の現実の歴史を作ったのは男達であり、20世紀にフィクションの世界を輝かせたのは女達であったというのが、私の20世紀という時代のとらえかたです。この、現実とフィクションのふたつをともに語ることで、はじめて20世紀の総体がとらえられるのだと、私は考えています。
女優シリーズで、私はすでに「フィクションの中で輝く女性的なるもの」というテーマを扱いました。今回は、もうひとつの20世紀の物語である、「政治と戦争の中に現れた男性的なるもの」というテーマを扱っています。そしてこの「政治と戦争」はどこに数多く記録されているかといえば、それは「報道写真」でしょう。「女性的なるもの」の時には「映画」をテーマとしたように、「男性的なるもの」をテーマにする今回は、数々の20世紀の「報道写真」をテーマとしています。
(森村泰昌のメモより)

今回は毛沢東、ゲバラ、アインシュタイン、トロツキー、レーニン、ヒトラーなど、荒ぶる世紀を生きた男達を題材にした作品が展示されます。労働者が主役の理想社会を目指し志半ばで亡くなったレーニン、そしてナチスを率いた独裁者のヒトラー。権力を持ちつつも時代の中で滅びる運命を生きたその熱き魂を、森村は現代に燃え上がらせようとしているかのようです。

なにものかへのレクイエム・その弐 荒ぶる神々の黄昏なにものかへのレクイエム・その弐 荒ぶる神々の黄昏なにものかへのレクイエム・その弐 荒ぶる神々の黄昏なにものかへのレクイエム・その弐 荒ぶる神々の黄昏

森村は1951年大阪生まれ。1985年よりセルフポートレイトの作品制作を開始。代表作に古今東西の名画を題材にした「美術史シリーズ」。映画の登場人物を題材にした「女優シリーズ」。フリーダ・カーロを題材にした「私の中のフリーダ」やスペインの巨匠ゴヤの版画集「ロス・カプリチョス」を題材に現代諷刺を展開した「ロス・ヌエボス・カプリチョス」など。2007年に「美の教室、清聴せよ!」を熊本市現代美術館、横浜美術館にて開催。展示室を教室にみたてた構成は、子供から大人まで幅広く賞賛されました。また、同年ヴェニスで開催された「20世紀へのレクイエム」展で発表されたシリーズの日本での初の公開となります。勢いがとどまることを知らない、森村のハード・コアシリーズ第二弾を、この機会に是非ご高覧頂けますようご案内申し上げます。

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