ShugoArts

三嶋りつ惠
百年後-未完の考古学

2008年10月18日(土)− 11月15日(土)
ShugoArts


三嶋りつ惠 Ritsue MISHIMA
CASCATA
2008, glass, h70xw23.5cm

イタリア・ムラーノ島のガラス職人とコラボレートしながら作品をつくりつづけている三嶋りつ惠が、シュウゴアーツで個展を開催いたします。
2007年春に開催された、ヴァンジ彫刻庭園美術館での個展「しずかな粒子」では、自然光のもと、作品と光が織りなす時空を超えた美しいインスタレーションが話題を集めましたが、本展では、作家もいなくなってしまった百年後の作品の姿を、三嶋自身がみてみたいという思いから、博物館の展示室をイメージしたインスタレーションで、みなさんをお迎えします。

シュウゴアーツ(SA) 今回の展覧会のテーマはどんなものですか。

三嶋(M) 私は日常的に職人たちと作品をつくっていますが、ときどき、彼らとの制作の光景が、フィルムからその場面だけ抜き取ったように頭の中でフラッシュバックすることがあります。そんなとき、火のなかで、瞬間、瞬間を形として生み出すプロセスが、人と自然界の織りなした貴重な時間であったかのように、遠く過ぎ去った過去のように、とてもいとおしく感じられるのです。
一方、現状に眼を向けると、EU統一以降、国のシステムも変り、ムラーノ工房は経営の維持が難しくなってきています。工房も減り、職人をめぐる状況はよくありません。1000年の間、培われ受け継がれてきた職人の技術が、これから先どれだけ受け継がれていくのかもわからないのです。仕上げの研磨の作業をしている職人の背中をみつめていると、いまこうして制作している時間がとても貴重で、ずっと続くと約束されたものでないという実感がわいてきます。
ただ、彼らと生み出した作品は残っていくという確信があります。制作の合間、職人たちと冗談まじりに「これは絶対ミュージアム行きだね」と、そんな会話を交わしながら作品を仕上げていくこともあります。
そんなことを考えていて、最初に「百年後」ということばが浮かびました。作家である自分もいなくなってしまった100年後、作品だけが生をもち、存在している風景をみていたいという思いがわいてきました。

SA 展覧会タイトルには、考古学という言葉も出てきますね。

M 今までは作品が空間にとけ込んだようなインスタレーションが多かったのですが、今回は、博物館のように、まさしくモノと向きあう空間に挑戦したいと思ったのです。ガラスケース越しにみる作品がどんなふうに映るかにとても興味があります。
実際に大英博物館などにリサーチに行ってみると、一番心を動かされたのは、やはり展示されているものの姿でした。メソポタミア時代なんかの、だれがつくったのかもわからないものが、歴史を経てそこにあるわけでしょう。いろんな争いもみてきているだろうし、すべてのことを包含しながら静かにそこにあるという感じ、過去から現在につながる時間軸がすっと立ち上がって佇んでいる感じが素晴らしかったんです。

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三嶋りつ惠は1962年京都生まれ。96年よりヴェネチア・ムラーノ島のガラス工房にて、職人と共同制作をスタート。鮮やかな色合いのヴェネチアン・グラスが多いなか、透明なガラスにこだわりながら作品を作り続ける。2001年、ロンドン・サザビーズにてジョルジオ・アルマーニ賞授賞。国内外での個展も多数。07年、作品集『RITSUE MISHIMA GLASS WORKS VENICE 炎の果実』が青幻舎より出版。

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